レビュー:アラン 幸福論【哲学】
- 作者: アラン,Alain,神谷幹夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1998/01/16
- メディア: 文庫
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意識しないと人間は悲観的になってしまい、無駄に不幸となってしまう。
幸福になろうという意志をもって生きなければ幸福になれないというのが、アランの幸福論全体を通しての主張だと解釈しました。
本書は「三大幸福論」の一つで、ラッセルの幸福論を読んだ後に読みました。
本書はラッセルの論理的な展開とは異なり、93の「プロポ(哲学断章)」という3~5Pの文章の集合から成り、その中に様々な気づきを与えてくれる文が散らばっています。
ただ、本書もラッセルのものと同じく、前半は不幸になってしまう原因について多く語り、後半は幸福になるための姿勢について多く語っていたように感じます。
本書の特徴として、たくさんのプロポのどれか一つを度々読み返すことで、いつもいろんな気づきがあるのではないかと思います。それぐらい本書にはいろんな思いが詰まっているように感じました。不安な気持ちが大きくなったときに読み返すと良いかもしれません。
以下、まとめです。
7:恐れは病気だ
- 心が健康にふさわしい動作をすること、それが健康のしるしである、という一種の定理による。
9:想像上の苦痛
- 死をうけとめることができるのは生きている人だけである。悲運の重圧をうけとめることができるのは幸福な人だけである。つまり、言ってしまえば、人間は自分の苦悩よりも他人の苦悩に対して敏感になっている。それは欺瞞でもなんでもないのだ。そこから人生についてまちがった判断を下してしまう。よく注意しないと、一生を台なしにしかねない。全力をもって、真の叡智をはたらかせて、実際の現実を考えねばならない。悲劇を演じようとしないで。
42:行動すること
- 人間は自分からやりたいのだ、外からの力でされるのは欲しない。
44:ディオゲネス
- 人間が幸福であるといえるのは、何かを欲する時と、つくり出す時だけである。
63:雨の中で
- どうして君は、自分自身に対してもかけがえのない友となってやらないのか。
64:興奮
- 幸福は平和がもたらす結果ではない。幸福とは平和そのものであるから。
73:上機嫌
- 死者たちのことを、できるかぎり友情とよろこびをもって語ることである。親切とはよろこびにほかならない。愛(アムール)とはよころびにほかならない。
77:友情
- 友情のなかにはすばらしいよろこびがある。
87:克服
- 期待を抱くこと、それはつまり幸福であるということなのだ。仕事を規則正しくすること、そして困難を、さらなる困難を乗り越えること、これがおそらく幸福に至る正道である。
88:詩人たち
- 相違は美しいものだ
89:幸福は徳である
- 人に幸福を与えるためには自分自身のうちに幸福をもっていなければならない。
91:幸福になる方法
- 自分の不幸は、現在のものも過去のものも、絶対他人に言わないことである
93:誓わねばならない
- 悲観主義は気分によるものであり、楽観主義(オプティミスム)は意志によるものである。